事務局日誌⑥|「大会屋」で終わってはならない
古い資料を整理している中で、1999年11月に東京で開催されたシンポジウム
「21世紀型スポーツクラブ―スポーツクラブへの追い風の中で―」
の資料が出てきました。

※1999年11月開催のシンポジウム資料表紙
このシンポジウムは、当時の東北クラブユースサッカー連盟理事長であり、日本クラブユースサッカー連盟の事業委員長でもあられた方の発案によって開かれたものです。
その根底にあったのは、
「この連盟が大会屋で終わってはならない」
という強い問題意識だったと記憶しています。
ただ大会を運営し、試合をこなすだけではなく、
クラブとは何か、地域に根ざしたスポーツクラブとは何か、
これからの時代に必要とされる組織とは何かを、志ある者同士で学び合い、
考えていこうという、当時としては非常に先進的な取り組みでした。
実は第1回のシンポジウムは、1997年12月に東京で
「チームからクラブへの展開」
というテーマで行われています。
残念ながら、その時の資料はまだ見つかりません。
しかし、今回ご紹介する1999年の第4回シンポジウムの資料、
そして次回触れたいと思っている2000年開催の第5回シンポジウムの資料は残っておりましたので、この機会に書き留めておきたいと思った次第です。
私自身も、1993年に横手FCとして初めて加盟させていただいて以来、
大会に参加するだけでなく、当時まだ先進的であった「スポーツクラブ」の法人化や、
クラブ運営のあり方、地域との関わり方など、さまざまなことを学ばせていただきました。
今あらためて資料を読み返すと、当時の問題意識の高さに驚かされます。
シンポジウムの開催趣旨には、次のように記されています。
「クラブ連盟では、ヨーロッパに見られる総合型地域スポーツクラブを視野において、現在の問題点を明確にし、同時に今後の方向性について広く意見の交換を行うシンポジウムを開催いたします。」

この一文からも分かるように、当時のクラブユース関係者は、
目の前の大会運営だけでなく、その先にあるクラブの理念や社会的役割まで視野に入れていました。
資料の中では、総合型地域スポーツクラブについて、
多種目・多世代・地域密着・自主財源・法人格など、
今日でもなお重要な視点が数多く示されています。
また、NPO法、スポーツ振興くじ法、地方分権一括法、PFI促進法など、
当時の社会制度の変化が「スポーツクラブへの追い風」として整理されている点にも、時代の空気を感じます。

つまり、クラブユースは単なる競技団体ではなく、
地域社会の中で新しいスポーツ文化を担う存在として期待されていたということです。
あれから30年近くが経ちました。
振り返ってみると、東北クラブユースサッカー連盟も、どちらかと言えば「大会屋」になってしまった面があるのかもしれません。
もちろん、大会は大切です。
子どもたちの成長の場であり、クラブにとっても大きな目標です。
しかし、それだけで終わってしまえば、当時の先人たちが描いていた志のすべてを受け継いだことにはならないのではないか――
そんな思いも、今あらためて強くします。
だからこそ、こうした資料をただの古い書類としてしまうのではなく、
そこに込められていた問題意識や理想を、今の時代にどう受け継いでいくかを考える材料として残しておきたいと思います。

※当日のシンポジスト紹介ページ
東北クラブユースサッカー連盟の歩みは、大会の歴史であると同時に、
学び、議論し、よりよいクラブのあり方を模索してきた歴史でもありました。
そのことを忘れずに、次の時代へとつないでいくことが大切なのではないでしょうか。
今回はここまでとし、
次回の「事務局日誌⑦」では、2000年開催の第5回シンポジウム資料にも触れながら、
さらにこの流れをたどってみたいと思います。
